上に立つものが当てにならない。あなたが動くしかないのか。(「パン焼き魔法のモーナ、街を救う」 T・キング・フィッシャー ハヤカワ文庫)

小説

パン焼き魔法のモーナ、街を救う
T・キング・フィッシャー
原島文世 訳
ハヤカワ文庫

組織や集団には、さまざまな問題が起こるでしょう。あなたはそれに気づいたうえで、被害を受けているとします。

場を統括しているリーダーこそ、問題を解決するのでしょうか?

パンを焼くことの魔法の使えるモーナは、ただ、パンが焼ける魔法が使えるだけですが、ある権力者が魔法使いを根絶やしにすると決めたとき、命を狙われます。これを解決できるのは、街を収める女公さましかいない!! 彼女は助けてくれるのでしょうか?

あらすじ

朝早い時間に起きて、叔母のやっているパン屋さんへ。仕込みをし、お客さんが買いに来る早朝に間に合わせなきゃ。と、モーナは、いつもの台所へ行くのですが、そこに、倒れている人が!! 亡くなっている!!

警察を呼んだけれどもなんでか犯人にされちゃう。

なぜか、宰相がやたらとモーナを目の敵にしてる!?

なんとかことなきを得たのだけど、殺し屋がくるの!!

逃げるしかない!

パン屋の台所で死んでいた女の人の弟が、助けてくれる。隠れ場所の教会。

街では魔法使いを取り締まる空気感が宰相により作られつつある(台所で亡くなってた人も魔法使い。とにかく、魔法使いを街からいなくさせることがされる)。

教会で、どれくらいか過ごしたけれども、ずっと逃げて生きていくの? どうしたらいい?

街を治める女公さまは、知らないんじゃない? 宰相の横暴を!!

死んだ女の人の弟は、街のアウトサイダー。暗いことに通じてる。女公に会える非合法の道をモーナのために考えてくれた。

はたして、出会った女公は宰相の行動を知っていた。そして彼女自身も保身のために動けないと。モーナは、説き伏せる。女公は決意し、宰相は国外追放へ。

宰相は異民族と手を組み国を乗っ取ること狙っていたのだ。そしていま、彼らの軍隊と共に、街を襲うつもりだ。

女公の軍隊は、偽の情報で遠くにいた。

魔法使いたちは、宰相の策略で街からいなくなっている!!

唯一の魔法使い、モーナがやるしかない!! パンを作る魔法で、ゴーレムを生み出す!!

街の存亡をかけた決戦が始まります!!

語りのミニシアター(リーダーはなぜ、動かないのか)

さて、女公の軍隊の将軍は、
黄金将軍と呼ばれる魔法使いです。
彼は、稲妻や炎を操ることができるのだと。

 
ことが終わったとき、彼はモーナに言いますね。
「英雄などいないほうがよい」と。

たたかいに、英雄的な自己犠牲があったからね……。
そんな、平穏に生きたい善良な人が、
犠牲になるのはおかしいってモーナは思ったのかな。
 
女公が、国をしっかりリードしなかったことを怒ってるわ。

そうですね! 
けれども、また、黄金将軍は言います。
 
「もし、私が、魔法使いの皇帝、
になるようなことになりそうだったら、
誰か止めてくれって思う」。

 
彼は伝説になるような魔法使いです。
モーナよりも先輩の英雄だから、
期待されること、その責任の重圧をよく知っているのでしょう。
そんな彼ですから、国を任させられることがどんなことかわかる。

モーナもまた英雄になったわね。
もし、これからこの街に何かあれば彼女が期待される。

彼女は14歳です。

その肩にはあまりに重いこと。
 
あやつったゴーレムたちは、
ただの戦いの道具ではないことを
彼女は感じていたのだと思います。
 
だから、英雄になりたくなかった、
とモーナは言った。

 
この事件は、彼女の、

精神に何かしら大きな影響を与えたし、
これからの彼女の人生にも与え続けるでしょう。

モーナは圧に潰れる子じゃないと思うわよ。
もし、そうなりそうだったら、街を出る。
そんな「自分をしっかり客観視できる女の子」ね。
 
そして、もしかしたら、彼女は、
すぐに対応しなかった女公についても
深く考えるんじゃない? 
 
そのさ、さっき言った怒りとか苛立ちとかの観点でなくよ。

だいたい、組織を広くみるリーダーと、

自分の手周りのことすればいい部下では、

同じ問題に対するにも、

視点や行動に違いが出ますね。

 
もしあなたが、部下なら、

リーダーの行動をよく見て、

その真意をおしはかってみては

(ただ、地位が違うので、

組織に関する情報にも格差があり、

そう言う意味で、根本的に、

部下が完全にリーダーを

読み切ることは難しいと思います)。

組織のためでなく、

私利私欲が目的のリーダーさんも

いるかもですが。

 

本書は作家の思いとしては児童書でもあります。
ご作品には、たくさんの寓意が込められていると思います。
その中でも、当ブログでは、

上に立つものとその下にいるものに関する語りに視線をもっていき、
リーダーと部下という観点からご紹介してみました!!

管理人
アリサカ・ユキ

ぼくはずいぶん長い間とても弱かった。勝手な自己主張の上手い人たちに、いろんなやり方でいいように扱われていました。

物語からほんとうの強さというものを知りました。それは、なにかをわかること、そして、それへのやさしい想像力で得ることもできる、ということ。ぼくは卑怯な人に抵抗できるようになった。優しい人の味方になれるようがんばれるようになった。

あなたを翔けさせる素晴らしい物語たちを伝えたいです。

毎週、月曜日の更新を心がけます(変則的になる場合があります)。

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管理人はトランスジェンダーであり、トランスエイジです。

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